大まかにいえば革ジャンは、ライダース系、ミリタリー(フライトジャケット)系、カジュアル系、モード系に分けられる。とはいえ、それぞれのスタイルは互いに影響し合い、その境界は曖昧である。極端にいえば、すべてがライダースでもあり、すべてがファッションアイテムでもある。
 
     
 
バイク・ライディングにもっとも適したフォルムと機能を持った革ジャン。バイク専用として発達した歴史は浅く、防寒性能と強靱さによりバイク乗りに取り入れられた皮革製のジャケットやジャンパー、コートなどがバイクの発展とともに進化してきたスタイルだといえる。趣味としてのバイク乗りが愛用し、レースシーンでも重用され、さらにそこからのフィードバックも活かされて、様々なスタイルが生み出されている点では、バイク自体の進化とともにあるといえるだろう。
 
「Military(軍用)」もしくは「Flight_Jacket(フライトジャケット)」、「Aviator(飛行士)」というジャンルかもしれない。二回の世界大戦を通して急激に発展した飛行機だが、飛行士達の環境は過酷なものだった。寒く、狭い機内でも確実な行動を求められた飛行士達にとって、優れた防寒性と運動性の両立できる皮革製のジャケットは必然の選択だった。当初は自前であったが、やがては軍の支給品として大量に作られる。それが低高度用のA-2ジャケットであったり、主に爆撃機の搭乗員が着用したことから「BomberJacket(ボマージャケット)」とも呼ばれるB-3などである。これらは、現在もレプリカモデルとして人気がある。

 
 

 


 

 
 
ライダース一般をはじめ、そのフォルムの特徴を端的にあらわす分類として、シングルとダブルというフォルムがある。その言葉通り、シングルは前合わせが一重のシンプルな構造。ダブルは前合わせが二重になった構造である。もともとは一般的なジャケットの、シングル・ブレステッド(breastd[胸の])、ダブル・ブレステッドという1列ボタンと2列ボタンの前合わせをあらわす言葉からきている。
 
     
 
一般的な革ジャンの場合ボタンがないので、前合わせが一重のタイプをシングルと呼んでいる。スタンドカラーでセンターファスナーというフォルムがオーソドックスなタイプ。レーシングスーツの上半身のみをジャケットにしたようなレーシーな雰囲気を持つものから、折りエリを配するものや、サイドファスナーでありながらシングルという構造もあり様々なスタイルが存在する。全般にシンプルなシルエットが特徴で、どのようなファッションにも、どのようなバイクにも似合う汎用性の高さも魅力。
 
前面に広めの合わせ部分を持ち、一般的な背広などに見られる上エリと下エリを組み合わせた開衿形状が一般的。ファスナーにより肩口まで締めることができるのが革ジャンならではの特徴。ポケット類やウエストベルトなどディテールもバリエーションが豊富で、それぞれが機能と個性の両立に貢献している。バイカーだけではなく、ハードロックやパンクミュージシャンのアイコン的な存在でもあり、好き嫌いは別にして革ジャンと聞いてダブルのライダースを想像する人は多いのではないだろうか。
 
 

 


 

 
 
ジャンパーという言葉を厳密にとらえて革ジャン(革のジャンパー)を考えれば丈は腰までというのが適切である。とはいえ、実際には様々な形があるわけで、丈が長いから革ジャンではないと分類してしまう必要もない。丈の長さは、見た目にも機能的にも大きな違いがあるので、選択の際にはよく検討していただきたい。
 
     
 
丈は腰までという、ごく一般的なシルエットの革ジャン。腰部はベルトやプリーツなどを配したものから、そのままのものまで様々だが、キュッと引き締まったフォルムになり、軽快でラフな印象となる。ジャンパーの語源通り、袖口も裾もタイトなものが多く、風の侵入などは防ぐことができる。前傾姿勢を考慮して、背側の丈を長めにとったものも多い。


 
見た目はロングの革ジャンという分類ができるが、呼称はメーカーによって様々であり、ロングジャケットと称したり、ショートコートもしくはハーフコートと呼ぶ場合もある。腰回りは確実に覆われ、着丈で尻を隠す程度の長さが一般的で、ショートタイプよりも防寒性能は高い。形によってはエレガントな印象もあり着こなしの幅は広いが、前掲のきついバイクでは前丈の長さがあだになる場合もある。選択の際は乗車姿勢と用途を十分に考慮したい。